No.7 『できるやつ』 ≪平成12年 7月配信≫
「ヌ・ヌ・・!!お主、できるな。」といえば、宮本武蔵と佐々木小次郎が真剣を交えたとき、どちらともなく無意識に相手方に言った言葉とか?
では、このできるとは一体何を指していうのでしょうか?
剣さばき(技)、相手と向き合った時の度量、気合の入れ方、体力、威圧感etc.
相撲の世界において「心・技・体」ということばがありますが、これらが相乗して相手方より勝っていることをいうのではないかと思います。あなたは如何お考えでしょうか。
最近のニュースで17歳の少年が起した事件が話題となっています。
西鉄高速バス乗っ取り犯の少年や愛知県豊川市で65歳の主婦を殺した者達がいずれも勉強の「できる少年」と報道されていました。
卑劣な事件を起し、社会に不安と被害者やその家族に恐怖を与えたこれら少年をして「できる」をいった言葉を用いて表現して欲しくないと思います。
ペーパーテストで高得点を取っていれば「できる」人間なのでしょうか?
確かに、多少知能指数が高くて、物覚えが良く、ペパーテストでより多くの答えが書ければ、それにこしたことはないのですが。
教育の現場では「できる」ことを評価するのに、多くの人数が同じ条件のもとで、同時に行うことのできるペーパーテストを採用しています。これは他の方法より安易で費用も安いので重宝がられています。これに高得点を得ると、それだけで「できるやつ」と評価をしてしまいます。
勘違いをするな。!!
「できるやつ」とは「心・技・体」と「相手を思いやる心」を兼ね備えている者をいうのだ。
「最もできない者」を「できる」と書く新聞の記事を読むとき、腹立たしささえを覚えます。
「できるやつ」とは、不断の努力を行っている者だけをいうのです。
そうでは、ありませんか?
「できる」という言葉を、軽々しく使ってほしくありません。
以上。
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